ツル越冬地に環境省出先 鳥インフル対応など、出水市

ツル越冬地に環境省出先 鳥インフル対応など、出水市 西日本新聞(4/1付)

 環境省九州地方環境事務所(熊本市)は1日、国の特別天然記念物のツルが毎冬1万羽以上渡来する鹿児島県出水市に「鹿児島自然保護官事務所出水事務室」を開設した。高病原性鳥インフルエンザの防疫や発生時の迅速な対応を強化するとともに、ツル越冬地の分散化にも取り組む。

 出水市の越冬地では2010年度と14年度にツルの鳥インフルエンザ感染が発生した。専門家は「出水平野にツルの渡来が一極集中したままでは種の存続が危ぶまれる」と指摘。環境省も分散化を検討するが、思うように進んでいない。

 出水事務室は市ツル博物館内に設置された。感染症対策専門官で獣医師の中村陽子自然保護官(48)が着任。市職員と連携してツルの防疫パトロールや感染症検査に当たり、分散化の方策も検討する。同県薩摩川内市の藺牟田(いむた)池に生息する絶滅危惧種のベッコウトンボの保護にも当たる。

 中村保護官は、出水市の渋谷俊彦市長らとともに事務所の看板を掲げ「市民と手を取り合い、ツルの保護に頑張りたい」と抱負を語った。

=2015/04/02付 西日本新聞朝刊=