鳥フル関連

国内最大越冬地のマナヅルから「H5N8型」 読売新聞(11/29付)

環境省と鹿児島県は29日、国内最大のツル越冬地・同県出水(いずみ)市の出水平野で保護され、27日に遺伝子検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出ていたマナヅル1羽から、高病原性のウイルス「H5N8型」が確認されたと発表した。

 今のところ感染拡大の兆候はみられないという。県は30日、ツルの発見場所から3キロ圏の33養鶏場を立ち入り検査し、鶏の異常の有無を確認する。

 発表によると、マナヅルは23日に衰弱した状態で見つかった。鹿児島大で詳細な確定検査を行った結果、29日、鶏などの大量死を招くこともあるH5N8型のウイルスが確認された。

 これを受け、環境省は出水市に12月2~5日、野鳥緊急調査チームを派遣することを決定。県は29日夕、対策本部を設置した。「野鳥監視重点区域」に指定された半径10キロ圏の141養鶏場に対し、県が28日までに行った電話聞き取りでは、異常は報告されていないという。


高病原性の鳥インフルと確認 鹿児島・出水のマナヅル
 朝日新聞(11/30付)

 国内最大のツルの越冬地、鹿児島県出水(いずみ)市で死んだマナヅルから陽性反応が出た鳥インフルエンザウイルスについて、鹿児島県は29日、高病原性のH5N8亜型と確認したと発表した。

 国内での野鳥の高病原性鳥インフルエンザ検出は、今季に入って島根、千葉、鳥取県に続き4例目で、ウイルスはいずれも同型。

 ツルは23日、衰弱しているところを市に保護され、その後死んだ。27日、遺伝子検査で陽性が確認され、環境省が保護地点の周囲10キロを野鳥監視重点区域に指定した。

 県は10キロ圏内の約150養鶏場に聞き取り調査をしたが、感染は確認されなかった。野鳥のパトロールでも、大量死などは見つかっていない。ただ、県は29日、養鶏場への感染拡大などを防ぐため、対策本部を設けた。30日に半径3キロ圏内の33カ所の養鶏場に立ち入り検査し、異常がないかや野鳥の侵入防止策などを確認する。

 環境省も来月2日から野鳥緊急調査チームを派遣、死んだり異常の生じたりした野鳥がいないか調べる。

 出水市は例年1万羽を超えるツルが飛来、国の特別天然記念物になっている。2010年、11年には飛来したツルが鳥インフルエンザに感染。11年は市内の養鶏場にも広がり、鶏約8600羽が殺処分された。

 マナヅルやナベヅルは国際自然保護連合(IUCN)レッドリストで絶滅危惧2類になっている。環境省は、出水にマナヅルの約5割、ナベヅルの約9割が集中する現状では鳥インフルエンザなどの感染症で種が絶滅するリスクがあるとして、今月、国内に新たな越冬地をつくって分散させる方針を示した。ツルが飛来する地域の環境を整えてつくる考えだ。

鳥インフル:鹿児島・出水のツル「高病原性」検出 毎日新聞(11/29付)

環境省は29日、鹿児島県出水(いずみ)市の出水平野にいたマナヅルから、H5N8型の高病原性鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表した。鹿児島県は全国有数の養鶏地でツルの越冬地でもある。県は29日に対策本部を設置し警戒している。環境省は12月2日に緊急調査チームを派遣する。野鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは今季4例目。

 県対策本部はマナヅルがいた半径3キロ圏を監視区域に設定▽圏内の33養鶏場に30日に立ち入り検査▽半径10キロ圏内141の養鶏場に消石灰を配布−−するなどの防疫対策に乗り出す。

 マナヅルは衰弱しているのを監視員が見つけ、27日にインフルエンザの陽性反応があり、その後死んだ。県は28日、10キロ圏内の141の養鶏場に野鳥侵入防止用の防鳥ネットが破れていないか確認を求めるとともに、電話で聞き取り調査したが、異常があったとの報告はないという。

 農林水産省のまとめでは、鹿児島県のブロイラー飼育数は2634万羽で宮崎県に次いで全国2位、採卵鶏と種鶏は1006万1000羽で全国3位(いずれも今年2月1日現在)。出水市内ではブロイラー、採卵含め約150戸の養鶏農家が約560万羽を飼育しており、赤鶏農協の田下豊組合長(58)は「深刻な事態と受け止めている。防疫に徹するしかない。各農家に更なる注意を呼びかけたい」と話した。

 出水平野のツルは2010年12月にも鳥インフルエンザ感染が確認された。11年1月には出水市内の採卵鶏農場の養鶏も感染し、約8600羽を殺処分し、半径10キロ圏内のブロイラーと卵の移動を制限した。県は当時の被害額を約4億円と試算している。

 鹿児島県のツルと渡来地は特別天然記念物に指定されている。越冬ヅルは18季連続で1万羽を超え、11月の調査では過去最高の1万4378羽を記録。更にナベヅル、マナヅルは絶滅危惧種。環境省野生生物課は「ツルの密集は感染防止の面から危険でもあり、新しい越冬地などの環境整備を検討していきたい」としている。【杣谷健太、宝満志郎、柳瀬成一郎】